研究課題/領域番号 |
14380105
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
教科教育
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研究機関 | 奈良教育大学 |
研究代表者 |
郷間 英世 奈良教育大学, 教育学部教育実践開発講座, 教授 (40234968)
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研究分担者 |
牛尾 禮子 吉備国際大学, 保健科学部, 教授 (80281525)
小谷 裕実 京都教育大学, 教育学部, 助教授 (10294266)
村田 美由紀 兵庫教育大学, 学校教育学部, 講師 (70295666)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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キーワード | 重症心身障害 / Quality of Life(QOL) / 主観的満足度 / 質問紙 / 微笑行動 / 主体的表現 |
研究概要 |
重症心身障害児・者(重症児・者)の主観的満足度としてのQOLの評価に際し、言語の理解のわずかでも可能な重症児・者と不可能な重症児・者に分けて検討した。 言語理解のわずかでも可能な、知的発達年齢1歳半以上の重症児・者に対して、言語による質問と本人からの自己表現によるQOLを評価した。方法は、WHOQOL-26を改変した6領域39の質間よりなる評価用紙を開発作成し、まずその信頼性と妥当性について検討した。次いで、運動機能障害を併せ持つ知的障害児90例を対象に、本人のQOLを評価した。回答の方法は「言語」によるもの、「表情」や「視線」によるもの、「身体の動作」や「緊張」によるものなどそれぞれの障害の状態に応じて様々な方法が認められた。総得点では知的障害重度群で、知的障害軽度群より有意に低い得点を示した。領域別に見ると「全般」、「自己表現」、「意思決定や選択」、「機会」で重度群は軽度群より得点が低かった。これらの結果より、関わり手の理解不足や選択や機会の提供の不十分さはQOLに影響を及ぼすことが明らかになり、よりよいサポートシステムの開発が必要と考えられた。 言語による理解が不可能な重症児・者に対しては、微笑行動などの表現を評価項目としたQOLの測定が可能と考えられ、日常生活場面に参加観察しエピソード記録から認識や感情表現を解釈した。多くの場面で微笑行動が観察されいずれも様々な自己表現を行っていた。解釈をもとに行った発達的評価は通常の発達検査結果より高い段階のものが認められ、認識や人との関わりの分野において著明であった。ここで用いた微笑行動を手がかりとした本人の意思や満足度などの精神活動を推定する方法は、表現手段の限られた重症心身障害児の主体的表現を捉えることができ、コミュニケーションやQOLを豊かにする可能性が考えられた。今後、より正確で簡便な評価尺度の開発が必要と考えられた。
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