研究課題/領域番号 |
14380111
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研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
小川 博久 日本女子大学, 家政学部, 教授 (60002698)
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研究分担者 |
杉山 哲司 日本女子大学, 家政学部, 講師 (20226476)
岩田 遵子 新潟県立新潟女子短期大学, 幼児教育学科, 助教授 (80269521)
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キーワード | 子どもの居場所 / 集団的に循環する動きと集団の凝集性 / 子どもの能力の差異化、序列化の無化 / 動作の連携 |
研究概要 |
めばえ幼稚薗(山形県最上郡金山町)でフィールドワークを行い、幼児たちの園庭の遊び(雪すべりや雪上レストランごっこ)と、室内で展開された遊び(木工製作やごっこ遊び)の実態を映像記録に採った。また、兵庫県姫路市立広峰小学校でフィールドワークを行い、本庄冨美子教諭の2年生の国語の授業「スーホの白い馬」の劇作り、体育の授業、休み時間の校庭の遊びを映像記録として収録した。これらのフィールドワークを通して明らかになったことは、次の6点である(めばえ幼稚園;1〜4、広峰小学校;5〜6)。 1.室内、室外に関係なく、遊び経験の蓄積の多い幼児は、人間関係の密度が濃く、しかも開かれていて、遊びの中で遊びこむことも多く見られ、遊びへの参加の仕方も柔軟であった。 2.人間関係が遊びの中で深まっているため、木工などの製作作業において、ノコギリを引く子が決まると、自然に木を抑えてそれを手伝うという連携が見られた。 3.人間関係の密度が濃いため、子供たちり動作が自然と循環する動き(斜面を滑り降りては登り、また滑り降りる)となり、集団性が形成されていた。 4.雪の中でのレストランごっこは、オープンスペースという集中を阻害する環境にもかかわらず、集中度が高かった。 5.クラス担任の学級経営方針が、能力の差異化、序列化を否定しており、仲間のために何ができるかを考えることが大切だというポリシーを一貫して持っていることによって、障害があるとみなされてきたO君の居場所が拡大し、安定していると考えられる。 6.「スーホの白い馬」という劇作りの過程で、クラス全員がまとまったドラマイメージを持っているために、O君も自分の役割を十分に果たすことができていたと考えられる。
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