研究課題/領域番号 |
14380111
|
研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
小川 博久 日本女子大学, 家政学部, 教授 (60002698)
|
研究分担者 |
樋口 利康 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (10134785)
神田 伸生 鶴見大学短期大学部, 保育科, 教授 (80279819)
岩田 遵子 東横学園女子短期大学, 保育学科, 助教授 (80269521)
杉山 哲司 日本女子大学, 家政学部, 講師 (20226476)
|
キーワード | 個と集団 / 人的環境 / 教師の指導力 / 空間的・物的環境 / 「障害児」と認定された子ども / クラス形成 / 芝生 |
研究概要 |
本年度は、研究の中心を小学校に移し、小学校における学級の中での個と集団の関係に研究対象をおいた。研究は、二つの対象クラスの比較研究によって行った。 一つは兵庫県姫路市の小学校教諭本庄富美子氏の実践(平成15年度;姫路市立広峰小学校4年生、平成16年度;姫路市立荒川小学校4年生)である。本庄教諭の実践を対象にした理由は、このクラスで「障害児」として認定されていた児童が教育活動を通じてクラスのメンバーとして他児とほとんど変わりなく交流できるようになっていくことにある。本年度の研究は、その過程を分析し、その要因を明らかにしていくことがねらいであった。「障害児」は、他の児童とは学力の点で明白なレベル差があるにもかかわらず他児と豊かな人間関係を創り上げていく過程と要因を分析した。 もうひとつの対象クラスは、東京都杉並区立和泉小学校4年生のあるクラスである。この小学校を対象とした理由は、校庭に芝生が敷きつめられており、遊びにおける人間関係の親和化を空間的・物的環境改善によって図っているにもかかわらず、改善前とは変化の見られない関係性もあると思われたからである。本年度の研究では、このクラスの中で孤立しがちな児童の校庭での動きを、遊びの動線の軌跡分析によって明らかにした。この研究からは、人間関係を改善してゆく人的環境としての教師の役割の重要性を指摘せざるをえなかった。 結論としては、ハンディキャップをもった児童がいたり、問題児とされている児童がクラスにいても教師の指導力があれば、学力差にかかわらず、良い人間関係が成立する可能性があるということであり、環境改善は、良きクラス形成にプラスに作用することはあっても、やはり重要なのは、担任教師の指導力である、ということである。
|