研究課題
平成15年度においては、前年度に引き続き、総合的な学習の時間のカリキュラムの分析及び学習活動の評価の動向を探るため、実施事例等の収集を行った。実施事例については、国立教育政策研究所で作成した事例集によるものや、国立教育政策研究所教育研究情報センターで収集しているデータ(教育研究情報センター 実践・文献情報、「総合的な学習ランド」)を基にした。又、高等学校については、平成15年度から学年進行で実施されていることから、全国の高等学校における実施状況等についてアンケート調査を行った。各学校のカリキュラムを枠付けている条件については、次のようなものが考えられる。ア.学校と地域の特色や実態、イ.児童生徒の特性や実態、学習指導上及び生活上の課題、ウ.教育課程上の位置付けや各教科等との関係、エ.学習課題の特性、オ.指導体制、カ.学習活動の特性、キ.学習形態、ク.学習集団の編成、ケ.学校段階間の接続、コ.学校施設・環境。一方、カリキュラム評価の視点として、ア.学習の評価によって明らかにされる目標の実現状況、イ.カリキュラムの編成と運営の評価、の2点が考えられる。ア.の指導目標の実現状況を整理するとともに、イ.のカリキュラムの編成、運営の条件と連動させることを通して、カリキュラムの課題を抽出していくことになる。その際、上述したカリキュラムを枠づけている要素、条件ごとに課題を明確にしていく方法が考えられる。具体的には、条件ごとに記述的な評価を行い、評価情報を累積し、その後に総合判断することが考えられる。また、成果のあった単元や学習活動について、その理由を明確にしていくことも、カリキュラム評価を合理化していく上で、有効な方法といえる。