研究課題/領域番号 |
14380128
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研究機関 | 統計数理研究所 |
研究代表者 |
尾形 良彦 統計数理研究所, 調査実験解析研究系, 教授 (70000213)
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研究分担者 |
佐藤 整尚 統計数理研究所, 予測制御研究系, 助教授 (60280525)
樋口 知之 統計数理研究所, 予測制御研究系, 教授 (70202273)
種村 正美 統計数理研究所, 調査実験解析研究系, 教授 (80000214)
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キーワード | 階層的時空間ETASモデル / 確率的除群法 / クーロンの破壊基準 / デネロ分割(4次元) / 地震活動の地域性 / 相対的静穏化現象 / 前駆的非地震性すべり / 時空間点過程モデル |
研究概要 |
(1)余震活動の相対的静穏化現象とこれに関するメカニズムの研究 余震活動の相対的静穏化現象のメカニズムとして、余震域近傍の当該断層内での先行すべりを仮定した。これに伴う応力変化のため余震活動の低下が起きたと考え、クーロンの破壊基準(CFF)のstress-shadowと余震活動の相対的静穏化の時空間パタンとの対応を調べた。カルフォルニアの1992年Joshua Tree地震の余震活動および1992年Landers地震(Ms7.3)の余震がETASモデルによる解析の結果、とくに地殻浅部で有意な相対的静穏化がみられ、それぞれLanders地震と1999年Hector Mine地震(Ms7.1)の断層内部での非地震性すべりによると考えると理論的な整合性が得られる事を示した(J. Geophys Res.掲載予定)。 (2)階層的時空間ETASベイズモデルによる地震活動パラメタの推定と異常地震活動検出 階層ベイズ型時空間モデルによって地震活動の地域的な個性(顔)を表現するp値などの5つのパラメタ(位置の関数)を推定することで各地の地震活動の違いを定量化して可視化できた。特に東北地方東方沖の余震活動の強さを示すK値は、アスペリティの分布(独立に強震計の逆問題で求めたもの)の周辺境界地域に分布しており、これまでの地震学的な知見を再現している。実際の地震活動と時空間モデルで計算された理論的活動度を直裁的に比較し、相対的静穏化や活発化、第2種の地震空白域などを適当な断層モデルによるCFF変化と比べて整合的な結果を得た(一部、査読中)。 (3)時空間ETASモデルによる確率的除群法 時空間ETASモデルにもとづいてthinning methodを適用する事によって、群れ形成の不確定性を含む客観的な除群アルゴリズムを提案した(J. Amer. Statist. Soc.掲載)。これによって前震の時空間的研究を進めることが可能になった。 (4)その他 A)深さを含む4次元空間で実行するための階層的時空間ETASモデルの推定プログラムの作成の第一歩として、4次元デロネ分割のプログラムを作成した。 B)菅原のタンクモデルを拡張したベイズ的非線型モデルを作成して、歪み計、傾斜計のストレス変化から積雪や雨量による影響の除去を試みた。地震活動に対応するひずみ変化のデータが必要とされる。
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