研究概要 |
Epidemic Type Aftershock Sequence (ETAS)モデルは余震減衰の経験法則に基づき地震活動の地域的個性を表現し、そこでの地震発生率を予測する。この予測と実際の地震発生頻度の相違を測ることが広域のストレス変化の有効なセンサーとなる可能性が大きくなった。まず或る地域での地震(余震)活動をETASモデルで同定する。もし,その地域の外で大きな地震や非地震性のすべりが起ると、急激なストレス変化が伝わり、その時を境に注目地域での地震(余震)の活動度が,予測されたものから系統的に外れることがよくある。予測より有意に少なくなる場合と多くなる場合がある。その変化が地震(余震)活動に働くクーロン破壊応力の減少や増大と整合的に対応する事例を最近の活動に多く見出した。 具体的には,2004年紀伊半島沖の地震,2004年新潟県中越地震や2005年釧路沖の地震の余震活動や地震前の周辺部における前駆的地震活動について,数々の調和的なシナリオや,地震予測に有用な知見を得た。それらは地震予知連絡会報や地震学関連学会誌で掲載済み乃至は掲載予定である。この様にして非地震性のすべりの所在をつきとめることは大地震の発生の確率予測の実効率を上げるのに役立ちそうである。 この他,検出された全地震のマグニチュード頻度分布モデルを構成し,推定することによって,本震直後の欠測の大量の余震を含む余震の改良大森減衰公式とGutenberg-Richterのマグニチュード頻度とをベイズ法で同時推定して,発生率を算出することができた。これによって本震直後の余震の困難な確率予測に資することが出来そうである。
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