研究概要 |
本研究課題では,冬季のリアルな自然景観シミュレーションを実現するための,雪氷現象のコンピュータグラフィックスによる表現手法の開発を行っている.これまで,雪密度を考慮した外力による積雪表面の形状変形法,雪の高速な質感表現法,積雪表面現象の表現法,樹氷の表現法について開発した. 本年度は,積雪表面現象の表現法と樹氷の表現法について改良を行い,氷現象としてつららの高速表現法を開発した. 積雪表面現象の表現法の改良:風によって積雪表面に形成される雪面模様の一種であるスカブラの形状表現法を開発している.この手法を基にバルハン,リップルなどの表現を行える拡張を行った.本手法は雪粒子の射出角度と移動軌跡,および,雪粒子の着雪点における拡散に関するルールを拡張し,これらのパラメータを調整することにより,風によって積雪表面に形成されるスカブラの他,バルハンやリップルなども表現することができる.さらに,パラメータを時間的に変化させることにより,バルハンからリップル,カブラへ形状を連続的に変化させることも可能である. 樹氷の表現法の改良:これまで粒子のシミュレーションにより生成する手法と,Zバッファ法を応用した手法を開発している.これらの手法を基に,粒子を堆積する領域をZバッファ法で効率的に求め,形状を成長させる手法の開発を行った.本手法により,粒子による手法と同様な形状を高速に生成することができる. つららの高速生成法:これまで提案されているつららの表現法は,水滴の移動と氷結をシミュレーションするというものであり,処理時間がかかり直線的なつららしか生成できない.本研究では,つららの形態的な特徴をシミュレーションする手法を開発し,従来の手法では表現できなかった曲がったつららや,つらら表面の波模様を表現可能とした.また,きわめて短時間で生成できるという特徴を持つ。
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