研究課題/領域番号 |
14380136
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中村 宏 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助教授 (20212102)
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研究分担者 |
南谷 崇 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (80143684)
佐藤 三久 筑波大学, システム情報工学研究科, 教授 (60333481)
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キーワード | 低消費電力プロセッサ / メモリ階層 / ソフトウェア可制御メモリ / ダイナミック消費エネルギー / スタティック消費エネルギー / リーク電流 / 温度依存最適化 |
研究概要 |
本研究は、プログラムの将来の挙動を含む大局的な情報を活用できるコンパイラと協調することで、メモリ階層の利用を最適化し、高性能化と低消費電力化の両方を達成することを目指している。本年度は、今後の半導体技術の進展から特に問題視されているリーク電流によるスタティック消費エネルギーの低減をめざした。プロセッサの消費エネルギーはダイナミック消費エネルギーとスタティック消費エネルギーからなるが、ソフトウェア可制御メモリを搭載したプロセッサでは、これらは両方ともソフトウェア可制御メモリの利用率に依存しており、全く独立に最小化することはできない。したがって、プロセッサ消費エネルギーを最小化するためには、両方のエネルギーの関係を考慮に入れソフトウェア可制御メモリの利用率を決める必要がある。そこで、これらのエネルギーを、半導体テクノロジーのパラメータとソフトウェア可制御メモリの利用率を用いてモデリングした。次に、スタティック消費電力の原因であるリーク電流のうち、最も多くを占めるサブスレッショルドリーク電流は、温度に指数的に依存することに着目し、プロセッサ全体の消費エネルギー最適化を目的として、プログラム実行中にプロセッサチップ温度に応じて、動的にソフトウェア可制御メモリの利用率を最適化するコンパイル手法を開発した。具体的には、コンパイル時に温度と消費エネルギーの対応表を生成しておき、プログラム実行時に、プロセッサチップ温度を監視しながら、その温度において最も消費エネルギーの少ないSCM利用率に切り替えながら実行を進める。評価により、温度の影響を考慮しないでSCMの利用率を決定した場合に比べ、温度に応じてSCMの利用率を変更することで、プロセッサ全体の消費エネルギーを削減できることがわかった。
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