研究概要 |
本年度は,各研究項目毎に以下のような研究成果を得た. (1)ダミーDNAを用いた情報のロック,アンロックに関する基礎実験 個人遺伝子情報の保護を行うための基礎技術として,修飾物質を用いたダミ-DNAによる情報のロックを行いシークエンシングによる塩基配列決定が困難であることを実験によって示した.また,修飾物質の除去によって,オリジナルのDNAのみのシークエンスが可能となり,オリジナルDNAの塩基配列が可能となることを実験によって確かめた.さらに,ダミーDNAを修飾せず,オリジナルDNAのみにアニールするキープライマーを用いて,情報をロック,アンロックする系を作成し,実際に情報のロック,アンロックが可能であることを実験的に確認した. (2)階層的アドレス型DNAメモリの開発 上記(1)に関連して,オリジナルのDNAのみにアニールし,ダミーDNAにはアニールしないようなプライマーを設計し,オリジナルDNAのみを選択的に増幅するための実験系の開発が本研究開発遂行のために必須である.そこで,ダミーDNAが数多く混在する反応系において,キープライマーが選択的にアニールし増幅することでデータへのアクセスが可能となるDNAメモリの開発を行った.実際に,27アドレスをもつDNAメモリを構築し,その一つのアドレスを指定しPCRを行うことで対応するデータDNAを取り出すことに成功した.また,その過程を分析することで,大規模化への検討も行った.この技術により,ダミーDNAにアニールせず,オリジナルDNAのみにアニールするプライマーDNA配列の設計,及び.実験条件に対する多くの知見を得た.
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