研究概要 |
本研究は手書き図形認識エンジンFSCIと既存CADを連係させる機構をフロントエンドプロセッサ(FEP)として実装し,実務における手書き図形入力UIの具体的利用法と有効性を明らかにすることを目的としており、本年度は下記の各知見を得た。 1.図形入力FEPの基本機構設計 Windows上に既存のCADアプリケーション(AutoCAD)と協調動作する簡単な図形入力FEP機構を試作した.また図形入力FEPが,CADアプリケーションの作図ウィンドウに重なる透明なFEPウィンドウとして出現し,FEPウィンドウ上に入力された図形をCADアプリケーションに透過的に渡す機能を実現することを確かめた.(開発環境として申請備品の「開発用パソコン」と「液晶ペンタブレット」1台を用いた.) 2.手書き図形入力UIの確立 「重ね書きスケッチ認識」による手書き図形入力法を基本に,スナッピング機能と若干の補助的UIを組み合わせることにより,スケッチ感覚で正確に配置された幾何曲線プリミティブ群を入力する手書き図形入力UIを確立した.(申請備品の「位置センサ」,「スタイラスレシーバ」,「HMD」,「グラフィックスカード」を利用して時間精度の高いペン入力環境を構成して用いた.) 3.手書き図形・文字モードレス入力UIの確立 手書き描画ストロークを,「書」と「描」に区別する「書描弁別法」を既存の「文字認識エンジン」および「図形認識エンジンFSCI」と組合わせ,文字・図形のモードレス手書き入力UIを実現した.ただし,描画形状によっては,弁別率が低下する場合があり,この問題についてさらに検討する必要があると考えられる.(開発環境として申請備品の「液晶ペンタブレット」1台を使用した.また「スケールファクタ問題」の検証に「ペン入力デジタイザ」と「液晶プロジェクタ」によって構成する大画面ペン入力環境を用いた.)
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