研究課題
DNAコンピューティングにおいてブレークスルーを要する課題は、(1)汎用性の実現、(2)操作性の向上、(3)キラーアプリケーションの提案にある。本研究の目的は、汎用の分子メモリを利用するアクエアス・コンピューティングをマイクロ流体デバイスによって自動化することで、(1)汎用かつ(2)操作性の高いDNAコンピュータを実装するとともに、生体分子のように安価に使い捨てられる材料を用いて試行錯誤回数を確保する(3)分子強化学習をキラーアプリケーションのひとつとして実現することにある。研究の成果として、(1)ペプチド核酸(PNA)によるDNAの相補鎖置換を利用した数ビットのDNA分子メモリを実現して基本的なプロトコルを確立して、(2)マイクロ流体デバイス上に1ビット分の書込みを行う要素技術を実装し、(3)分子強化学習の並列化に焦点を当てて、DNAの等温増幅反応であるLAMP法を利用した評価値の伝播計算アルゴリズムを提案し、その基本的性質をシミュレーションと生物実験によって調べた。残された課題として、PNAを利用した分子メモリは、(a)DNA同士とのTmの差はわずかなため熱平衡によるビットの自然消去が避けられない、(b)PNAが付着したDNA分子の泳動パターンには定量性がないなどの理由から、本質的に大容量化が困難であることがわかった。一方、アクエアス・コンピューティング研究は世界的に着実な進展を見せており、本研究の発展として書込みを水素結合ではなく共有結合によってより強固に実現するための核酸有機化学研究者との共同研究も始まっている。
すべて 2005 2004
すべて 雑誌論文 (6件)
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