研究概要 |
本年度は,以下の5つのテーマ,1)全方位画像に対する処理ツールの整備と環境モデルの生成,2)映像・音響の協調処理によるイベント検出,3)イベントに基づく時空間インデキシング,4)全方位サーベイランス映像の可視化システムの試作と評価,5)ハイビジョン型全方位視覚センサの処理ツールの整備について研究を推進した.1)については,全方位映像から平面透視投影映像,パノラマ映像,ズーム映像へと変換するソフトウエアを実装し,単一センサを中心とする屋内環境の3次元モデルを作成し,カメラキャリブレーションによって全方位映像から環境内の位置を求める手法を開発した.2)については,映像と音響の同期的観測系を設計し,フレーム間背景差分による全方位画像の変化部分領域のロバストな検出アルゴリズムを定式化し,音響解析との協調的イベント検出を実現した.3)については,イベントとして,環境内の部分エリアへの入出,エリア間移動,エリア内停留を想定して,オブジェクトの追跡及び環境モデルとのマッチングによるイベント同定法を具体化すると共に,時空間インデクスの記述体系を明確化した.4)については,環境に生じたイベントの発生時間および発生場所について一覧性に優れた映像ストリーム全体の可視化法を種々考察した結果,時空間インデキシングの利点を生かして,時間と空間の情報が相互にリンクされた表現形式を導入した.タイムラインと空間マップのマーキングによる可視化システムを試作し,90%程度のイベント抽出精度が得られること,メディア時間の約半分で処理が終了することを実験的に確かめた.また,イベントごと・エリアごと・全体の要約映像を作成する手法を考案,実装した.5)については,ハイビジョンカメラを用いた高解像度全方位センサを新規に導入し,基盤ソフトを開発した.
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