研究課題/領域番号 |
14380168
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
匂坂 芳典 早稲田大学, 国際情報通信研究科, 教授 (70339737)
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研究分担者 |
小林 哲則 早稲田大学, 理工学部, 教授 (30162001)
白井 克彦 早稲田大学, 理工学部, 教授 (10063702)
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キーワード | 連続音声認識 / 未登録語 / 統計的言語モデル / 階層的言語モデル / 単語クラスモデル / 音韻連接特性 |
研究概要 |
本年度は、まず、氏名を未登録語として扱った場合に成功した原因を調べるため、統計的音韻連接特性を利用した氏名クラス内モデルに対する単語連鎖生起確率をはじめとした統計量の調査を行った。この結果、Nグラム統計的言語モデルの数値、氏名の音韻連接数の頻度分布が、作成した氏名クラス内モデルによって精度良く近似されていることが確認できた。また、この実験過程で、氏名クラス内モデルに用いる可変長モーラ単位のエントリ数が性能に大きく関わることが判明し、可変長モーラ単位の有効性が再確認できた。さらに、単語頭・単語中・単語尾と分けたモデル表現が氏名の音韻列の特徴を捉えるのに妥当なモデルであることが判明した。 次いで、クラス内モデルの未登録語記述可能性を調べるため、未登録語として最頻出する名詞全体を対象に品詞クラス内モデルを作成し、その性能を調べた。各名詞の統計量を全て捨て、名詞全体を未登録語として一つのモデルとしているため音韻認識率は全体として低下するが、名詞クラスと他の単語自体の認識率劣化は小さいことが確認できた。この結果から、文法等の制約を主に表す単語クラス間モデルと音韻間の制約を表すクラス内モデルといった、異なる言語制約の分離がモデルとして可能であることが判り、今後の未登録語の本格的なモデル化に明るい見通しを得た。また、名詞全体を日本語と外来語の二つに大別し、それぞれの単語クラス内モデルを作成して同様の認識実験を行った。この結果、音韻認識率の優位な向上を確認でき、複数の単語内クラスモデルの利用による性能向上への手懸りを得た。 以上、当初予定した、未登録語を受理する連続音声認識方式の検討、単語クラスモデルの設計、タスク外発話に対する認識性能劣化の下限測定ができた。さらに、未登録語・タスク外データの分析を行うため、実言語データ収集も開始し、当初計画どおり順調に研究は推移した。
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