研究概要 |
本年度の主な研究成果は,次のようなものである. 1.ストリーム型配信においては、所望のQoSを確保するためには受信バッファ内のパケットがオーバフローすること、およびアンダーフローすることを防ぎながら、応答性能の良い画面再生をすることが重要である。このためにはネットワーク内の輻輳による遅延を十分考慮に入れたプレイアウト時間およびバッファ容量の設計が肝要である。遅延は一定ではなく、時々刻々変化しており、上記の評価量を求めるためのモデル化と性能評価手法の開発を行った。具体的には、パケットの到着過程をモニターし、適切な確率過程により記述し、その後のバッファ内パケット数分布の過渡解析を行い、QoS評価を可能にした。 2.ピアツーピア通信がトラヒックの過半を占めようとしており、今後この種のトラヒック量は益々増大することが予測される。他のアプリケーションへの影響を抑えながら、オーバレイ・ネットワークでコンテンツ配信を効率良く行うには、トラヒック量・ピア間のホップ数・RTTの推定が不可欠であるが、サーバ・クライアント型通信と違い、トラヒック種別の特定が難しい。これを回避するための技術を開発し、実際のネットワークでのデータを用いて実証実験を行った。 3.リアルタイムで双方向に情報を送受信する大規模多人数参加型サービスにおいて,ユーザが利用するマシンにサーバ機能の一部を委譲することによって,サーバ負荷を分散させる構成法を提案した.また,悪意のあるユーザによって行われる可能性のある不正攻撃を列挙し,提案法がそれらに対してどの程度の耐性があるかを評価した.
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