研究概要 |
本研究の最終年度として,XyMTeXの機能の拡充をはかり,XyMTeX2PSシステム(XyMTeX Version 4.02)を開発し,ホームページ上で公開した(http://imt.chem.kit.ac.jp/fujita/fujitas/fujita.html).化学文書をPostScript経由でPDFファイルに変換する手段を開発したことにより,印刷体としてもインターネット配信用としても取り扱えるようにしたことが本年度の最大の成果である.とくに,立体化学における楔形結合などをサポートすることにより,構造式を含む高品質の化学文書の版下作成を可能にしたことは,本研究のシステムが実用に耐えるシステムになったことを意味する.商業的な印刷にも使えることを実証するため,本研究者のもう一つの研究分野(情報記録材料学)に関するモノグラフをXyMTeX2PSシステムを用いて刊行した(引用図書参照).また,XyM記法の応用範囲を広げるため,XyM記法を結合表に変換するシステム(XyM2Mol)開発した.これは,XyM2MolアプレットおよびXyM2Molアプリケーションからなり,Java言語によりプログラミングしたものである(引用文献参照).総合的な化学文書の流通について,本研究者の考案したXyM記法およびXyMマークアップ言語(XyMML)を基盤として,印刷用の版下作成システム(XyMTeXおよびXyMTeX2PS)およびインターネット配信用システム(XyMJava)を開発したので,その統合システムとしての特徴を総合論文として公表した(藤田眞作,「線形表現の復権.構造式の線形表現としてのXyM記法」CICS Bulletin,22,110-115(2004)).化学文書の中で立体化学の表現をどのように取り扱うかを詳しく検討した(藤田眞作,「立体化学と立体化学命名法を統合的に取り扱うための群論的方法」第27回情報化学討論会(筑波)予稿集J07(2004)およびJ.Chem.Inf.Comput.Sci.,44,1719-1726(2004)).そのほかに,立体化学の基礎論を展開した.stereogenicityとchiralityの関係について論じたほか,擬不斉の取り扱いが重要であることを明らかにした(引用文献参照).
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