研究概要 |
手話通信システムについては、松山市総合福祉センター1F受付と5F手話生活相談室をギガビットネットワークで接続し、実験環境を整備した。H.323の一般的なテレビ会議アプリケーションを使って、延べ約25名の被験者に対して実験を行った。具体的には、擬似的なテーマを決めてそれについて、手話生活相談室の手話通訳者と聴覚障害者が会話をするというものとした。それにより、スループット等による画像の乱れ以外の利用上の問題点(臨場感や平面感)が明確になった。 点字システムについては、4回の会議(視覚障害者・ボランティア団体・雑誌新聞社)を通じて、システムの問題点について議論を行った。その結果、電子文書のレイアウト情報が点字印刷物に反映されていないという問題点が明らかになった。これを受けて、視覚障害者と7回の検討会を行い、墨字文書を自動点訳アプリケーション(IBUKI-TEN)にかけるためのフィルタを開発した.このフィルタは,HTML形式の文書をタグ処理し,マス空けや改行など,点字表記法に準拠したレイアウトで,HTMLファイルを墨字文書に変換する.点訳ボランティアや点字利用者の協力により,精度の高いフィルタの設計となった。さらに、このフィルタを活用して、WWW上から点字文書を遠隔地に印刷するシステムの実験実装を行った。 平成15年度テーマに追加した自閉症児のタイムエイドの開発については、見当の結果、タイマー・スケジューラ・カレンダーと絵カードの4つのモードからツールを構築することとした。そのうち、タイマー部をPDA上に実装し、愛媛大学付属養護学校などの協力により、約10名の自閉症児が利用を試みた。その結果、いくつかの用件(声かけなど)を満たす環境においては、高い利便性が確認できた。この結果を受けて、PDA版以外に、JAVAアプレット版、携帯電話(i-appliやez-appliなど)版も作成した。これらはすべてWWWで公開をしており、150件程度のダウンロードがあった。
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