研究概要 |
企業のIT投資効果の発現プロセスを明らかにすることを企図した第2回IT経営度調査は,本研究班と(株)経営科学研究所(以下,MSI)との共同プロジェクトとして,従業員500人以上の企業を東洋経済新報社会社四季報、日本経済新聞社在日外資企業ファイル、非上場企業ファイルから全数抽出し、第1回IT経営度調査回答企業のなかでそれらのファイルに含まれない企業を加えた3200社を対象に行われた。MSIが2000年に実施した第1回調査の4票形式は今回は回収・督促業務など実査上の困難から回収率の低下要因と判断し、1票形式とし、経営企画担当だけに回答を依頼した.第2回IT経営度調査調査票は、87問と一見圧縮されたが、フェイス情報などを加えれば470項目で構成され,調査対象を経営企画担当に集中したことを考えると調査項目の領域はむしろ拡大した。第2回調査票は、2002年9月に対象各社の広報部門へ郵送作業を行い.更に2002年10月に従業員規模1000名以上の企業を中心に約1000社に調査票を再送付し,MSIによる督促作業などを継続した、その結果第2回調査はその有効回答415社(2003年2月末現在)を得た。一方,MSIとの共同調査とは独立に,中小企業調査を実施した.(株)商工リサーチの企業データベースから従業員規模500名未満の企業をランダムに998社抽出し、2002年11月に調査票を発送した。Eビジネス調査は、新聞情報、日経IT企業データファイルなどから278社有意抽出し、2002年11月に調査票を発送した。中小企業調査は有効回答76社(2003年2月末現在)、有効回答率7.6パーセントであった。これらの調査データ以外に、(株)商工リサーチデータベースから、直近の従業員数、3期分の売上高、利益、配当といった財務データを500人以上の全企業ならびに、中小企業調査で発送した企業について購入し、調査データとリンケージを行い、データ分析用のデータセットを構築した。現在,これらのデータの一次分析が終了し,IT投資やIT研修投資の全要素生産性への影響の有意性(ITパラドックスの検討),ITシステムの導入形態・開発組織などのIT効果への影響などが示されつつある.また,MSIと共同でIT経営の効果尺度などの開発も開始している。
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