研究概要 |
近年発生した2000年鳥取県西部地震と2001年芸予地震の2つの被害地震を対象として、地形・地質等の地盤情報、建物構造や建築年代等の建物情報、そして、地震被害ならびに観測地震動、推定地震動分布の地理情報システム(GIS)データベースを構築した。ここで、建物被害データは、自治体が罹災証明の発行のために行った建物被害調査結果を用いた。また、面的な地震動分布の推定については、気象庁の観測記録、防災科学技術研究所のK-NET, KiK-net観測記録を用い、工学的基盤面上の表層地質モデルによる一次元等価線形解析の結果に距離減衰に基づく増幅率を考慮して求めた。 1995年兵庫県南部地震の被害データをもとに構築された既往の被害関数を、上記GISデータベースのうち2000年鳥取県西部地震のものに関し、地震動分布に対し適用し、建物被害シミュレーションを行った。その結果、上記被害関数による建物被害推定結果が実際の被害調査結果よりも小さいことを定量的に明らかにした。また、建物被害の部位に着目し、地盤・地形に関する地域特性について分析を行った。 耐震診断データに着目し,建物耐震性能の分布から応答スペクトルにより一部損壊被害を予測する被害関数の定式化を行った。1995年兵庫県南部地震に関し、精度の検証を行った。また、半壊・全壊といった大きな被害に対しても被害関数を拡張するため,木造建物動的解析モデルにより数値解析をおこない,大変位における被害と線形応答(周期帯別)の関係を分析した。
|