【目的】脳卒中リハビリテーションの治療成績を改善するために、リハビリテーションの診療プロセスに品質管理の概念を導入する。 【方法】1.脳卒中治療成績のアウトカム評価を行う。2.そのアウトカム評価結果を手がかりに診療記録レビューを行う。3.診療記録レビューに基づき、診療プロセス評価を行う。4.治療成績改善に必要な診療プロセスへの介入策を策定する。 【実施内容】(1)脳卒中治療成績のアウトカム評価を行うために、データベースの構築を開始した。具体的には、調査員が調査協力病院を訪問し、脳卒中で急性期リハビリテーションを受けた患者の診療記録をretrospectiveに閲覧し、調査票に必要事項を書き取った。(2)治療の適切性を評価する基準策定には、セラピストの診療記録を基礎資料とした。方法は、調査員が病院を訪問し、調査対象患者におけるセラピストの診療記録をretrospectiveに閲覧し必要事項を書き取った。上記1、2における調査員の記録には、個人識別情報は含まれない。 【結果】(1)アウトカムデータベースの構築に関して:調査対象となったのは、急性期リハビリテーションを行っている4病院である。一病院につき100症例のデータ収集を目標にデータベース構築が行われ、データベース構築作業の約8割が完了している。(2)セラピストの診療記録調査:当初、診療記録レビューは、RANDが開発したガイドラインに準拠して、ケアの質の良否を判断する計画であったが、研究班内での検討の結果、RANDのガイドラインはリハビリテーションケアの質の判断には適切とは言えないとの結論に達した。そのため、私どもの研究班独自のガイドラインを策定することとなった。 【考案】(1)アウトカムデータベースによる予備的分析:4病院の評価で、2病院の治療成績は期待値の95%CI内にあり、残り2病院の内の1病院は95%CIを超えて治療成績良好で、1病院は95%CIを超えて治療成績不良であった。アウトカム評価の実行可能性が示された。(2)セラピストの診療記録は[患者の身体機能評価→治療目標設定→治療計画立案→治療実行→再評価]というサイクルが例外なく行われていたが、記述の内容は病院により顕著な違いが見られた。今後、評価ガイドラインを策定する作業を開始する。
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