【目的】脳卒中リハビリテーションの治療成績を改善するために、リハビリテーションの診療プロセスに品質管理の概念を導入する。 【方法】1.脳卒中治療成績のアウトカム評価を行う。2.そのアウトカム評価結果を手がかりに診療記録レビューを行う。3.診療記録レビューに基づき、診療プロセス評価を行う。4.治療成績改善に必要な診療プロセスへの介入策を策定する。 【実施内容】本年度は、(1)診療録を評価して脳卒中リハビリテーションのQualityを評価するための評価基準の開発を行っている。(2)当初の計画では急性期脳卒中の治療成績を調査し、診療録評価との対比を行う予定であったが、急性期脳卒中よりも回復期脳卒中のリハビリテーションを検討するべきとの結論に達し、回復期脳卒中での診療録レビューと治療成績調査を遂行中である。 【結果】(1)RANDガイドラインの批判的検討により、われわれ独自の診療録評価基準を開発することとなった。リハビリ医師・看護師、PT、OT、STから成る開発チームを組織し、デルファイ方式で開発が進んでいる。現在開発版第3版となっており、チームの意見はほぼ収斂してきた。診療録評価基準は次の項目からなる:1.一般情報、2.医師のリハビリテーション処方、3.初期評価(A.心身機能・構造評価、B.活動評価、C.背景因子に関する評価、D.その他の評価)、4.治療計画(A.リスク管理・禁忌事項、B.治療目標、C.治療計画、D.説明と同意)、5.治療の実施(A.治療の実施内容、B.治療の効果判定、再評価、C.他部門、他施設との連携)、6.退院時の情報記録、7.データの活用(2)脳卒中リハビリテーションの治療成績は、回復期リハビリテーション病棟において調査を行うことになり、回復期リハビリ病棟治療成績調査のための調査票を作成し、回復期リハビリ病院4施設で調査を施行中である。 【考案】診療録調査と治療成績調査が同一の脳卒中リハビリを受けた患者で行われており、データベースが作られている。このデータの分析が行われることで、診療録によるリハビリテーション医療の質の評価とアウトカムの関連性を検証することが可能となる。
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