【目的】本研究ではリハビリテーションの品質改善をもたらすことを目的に診療録に基づくプロセス分析とアウトカム評価を行い、プロセスとアウトカムの連関を分析することでリハビリテーションの質改善の提言を行うことを目的に研究が進められた。また、この調査分析と並行する形でリハビリテーション医療の現場においてスタッフがどのような医療活動を行っているか、どのようなコミュニケーションを行っているかを調査分析することでリハビリテーションの品質改善に向けての提言を試みた。 【方法】 (1)診療録に基づくリハビリテーション診療プロセス評価ガイドラインの開発:複数のリハビリテーション専門職から成る開発チームを作り、Delphi方式でガイドラインの開発を行った。 (2)アウトカム評価:脳卒中リハビリテーションのアウトカムに相当するデータとそれらのアウトカムの説明変数になり得るデータを網羅的に調査するための調査票を作成した。 (3)診療録によるプロセス評価とアウトカム評価の実地運用:回復期リハビリテーション病棟5施設において脳卒中で入院リハビリテーションを受けた患者の診療録を閲覧し、プロセス評価とアウトカム評価の調査票調査を行った。両調査結果の連関分析を行った。 (4)リハビリテーション医療の現場における専門職の行動を分析するための参与観察を回復期リハビリテーション病棟のモデル病院で実施した。 (5)回復期リハビリテーション病棟3施設で専門職間のコミュニケーション・ギャップを調査するため調査票調査を実施した。 【結果】 診療プロセス分析とアウトカム分析の連関分析より、リハビリテーション医療の品質管理・改善に一般的品質改善の概念であるPDCAサイクルと同様の考え方が重要であることが判明した。また、参与観察調査より、職種間連携による質改善策への具体的提言を行った。
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