研究課題/領域番号 |
14380198
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山田 知充 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (50002100)
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研究分担者 |
磯貝 浩一 三井金属資源開発(株), 環境事業部, 部長補佐(研究職)
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キーワード | 人工衛星画像 / ヒマヤラ / 氷河湖 / 氷河湖決壊洪水 / GLOF / モレーン / デブリ / デブリ氷河 |
研究概要 |
大ヒマラヤ山脈(the Great Himalayas)に分布する氷河湖のすべてを対象にすることは経費の面から困難であるため、従来から現地調査を行ってきたことから、比較的様子の分かっている東経84度以東のネパール、シッキム、ブータン、チベットにまたがるヒマラヤ山脈に狙いを定めて研究を開始した。まず、当該地域の人工衛星画像の検索を行い、鮮明なデータが得られている合計17枚の画像を入手した。その際、すでにヒマラヤの氷河研究者によって購入されている画像との重複をさけ、ヒマラヤ研究者が扱える人工衛星画像資料の充実を図るよう配慮した。これによって、これまでに収集した画像とあわせるとヒマラヤ研究者は計75シーンの人工衛星画像資料を手に入れたこととなった。また、これらの画像を共通に扱えるよう画像共有コンソーシアムを形成し、「人工衛星画像によるヒマラヤの氷河と氷河湖の共同研究体制」を構築し研究を推進している。 以上の画像を用いて、(1)まず、画像データから氷河湖を機械的あるいは客観的に同定する手法を見つけ出し、(2)未知のまま残されている大ヒマラヤのチベット側とシッキムの氷河湖を同定し、(3)すでに分かっている他地域の氷河湖を加えて、氷河対象地域の氷河湖の分布を明らかにし、(4)同一地域の年次の異なる画像から氷河湖の拡大過程を解析しつつある。(5)今後、氷河湖の分布がヒマラヤ山脈の東部地域と西部地域でどのような違いがあるかを比較するとか、ヒマラヤ山脈分水嶺の南側と北側で違いがあるかどうかを比較するなど、氷河湖の地域分布特性を検討し、(5)氷河湖の拡大速度についても東西・南北比較を行い、氷河湖の地域的な特徴を気候と関連させつつ明らかにすることを試みる予定である。一方、画像資料から湖周辺の崩壊地形の推定や地質構造の推定を行い、決壊危険度の評価に組み入れる研究も始めている。
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