研究概要 |
最近GPS測位の分野では特にキネマティック測位技術の向上がめざましく,様々な方法が提案されている.これらの技術は一般的には土地の測量などの産業分野での応用が主たる目的であるが,利用の方法によっては地球科学への応用も可能と考えられる.特に地殻変動分野においてはリアルタイムで地殻変動を監視する技術の向上が図られており,キネマティックGPSの手法の導入が強く期待されている.そこで,本研究では,いくつかのキネマテイツク測位の手法のうち手軽に高精度測位が可能と考えられる「仮想基準点方式」(VRS)とよばれる手法の地殻変動研究への応用可能性を調査することとした.本年度は3年計画の初年度であり,まず,測位に必須のGPS受信機を購入した.次に,購入したGPS受信機を用い,VRS実験を実施した.VRS方式というのは,周囲のGPS基準点において取得される位相データから,内挿によって測位点近傍での位相を求め,'仮想的な位相データを基準として測位点の位置を推定しようとする方式である.平成14年度より国土地理院はGEONET観測点のリアルタイムデータの試験的配信を開始した.そこで,我々は購入したGPS受信機を,地殻変動研究に重要であると考えられる静岡県に設置し,連続的に48時間1秒サンプリングVRS測位データ取得を行った.しかしながら,VRS解析ができたのはそのうち7時間程度にとどまった.この原因を現在調査中であるが,主な原因としてはサーバ側からの補正情報の送信システムに問題があって補正情報が送信できなくなった時点でデータ受信用に用いられている携帯電話を切断してしまう,という技術的な問題が考えられた.また,衛星配置がそれほと悪くないにもかかわらず補正情報生成ができない場合もあり,サーバ側のソフトウェアの設定などの問題が考えられた.得られたデータの精度等については現在調査中である.
|