研究分担者 |
立川 康人 京都大学, 防災研究所, 助教授 (40227088)
戸田 圭一 京都大学, 防災研究所, 助教授 (70273521)
中川 一 京都大学, 防災研究所, 教授 (80144393)
武田 誠 中部大学, 工学部, 講師 (50298486)
市川 温 京都大学, 大学院・工学研究科, 助手 (30293963)
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研究概要 |
本研究は,都市とその周辺をひとつの流域ととらえ,この流域における水害事象の機構を明らかにするとともに,流域としての治水機能を高める施策とその評価法を考察することによって,都市の治水論を総合化しようとするものである.本年度は都市水害対策について既往の知見をまとめるとともに,流域を山地部と都市域のサブ領域に分けて,それぞれにおける流出・流動機構のモデル化を行った.主な成果は以下のようである. 1.わが国の主要都市における氾濫災害の実情を分析し,急速な都市化によって二重の意味で脆弱性が増していることを指摘した.すなわち,豪雨から流出の過程における洪水流量の増大ならびに急速化が一方にあり,都市内の公共資産や一般資産の飛躍的増大によりわずかな浸水によっても甚大な被害が発生することが他方にある.また,被害を最低限にする施策について,構造物的手法ならびに非構造物的手法の相互補完的組み合わせが重要なことを強調した. 2.都市周辺の山地域における降雨と出水過程に関して,まず,降雨の標高依存性をパラメータ化した時空間分布モデルを開発し,レーダー雨量計で観測された実測降雨がこのモデルで模擬できることを確かめるとともに,キネマティックウェーブモデルによる出水解析において場の集中化スケールの影響を考察し,降雨分布と並んで地形的要因の重要性を明らかにした. 3.都市域に関して,山地からの流出・河川網での洪水追跡,下水道網による排水,ならびに堤内地の氾濫挙動をあわせた統合型洪水氾濫モデルを開発し,これを実流域に適用するとともに,計画されている種々の治水施設による浸水軽減効果を評価する一方,超過降雨時の内水集中や浸水規模増大を警告した.
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