研究概要 |
本年度の成果は以下の2点である。第一に、DMSP衛星夜間可視画像からの都市光抽出手法と、都市光分布を用いた人口・建物棟数推定手法を被害想定に適用するうえでの妥当性を検証するため,想定東海地震を対象とした被害想定を行った。中央防災会議より公表されている震度分布の評価結果と、都道府県単位の被害評価結果,各種被害分布図をもとに、中央防災会議の想定方法とほぼ同じ評価条件で、人口・建物棟数のみ申請者らの手法による推定値を用いて想定を行い、中央防災会議の想定結果との比較した。その結果、都市部以外で過小評価の傾向があるものの、申請者らの提案する現段階の推定手法でも、地震の発生による建物被害や人的被害の全体規模や,都市圏を単位として,どの地域に大きな被害が集中するかを把握できることが明らかとなった。このことは、広域的かつ,現状の社会動態を最も反映した地震被害想定が可能となったことを意味する。 第二に、DMSP衛星夜間可視画像の時空間データベースのプロトタイプを構築した。これは、30秒グリッド上にリサンプリング後の画像について、各画素の値を30秒グリッド上の座標と撮影日時をキーに、データベース化するものである。これにより,都市光分布の作成や、任意の領域の都市光の時系列データの取得が容易になり、人口・建物棟数推定作業や、被災地推定のための事前画像の整備が効率化された。ごのデータベースは、都市光分布を用いて広域を対象として1km解像度で、事前の被害想定から、直後の被害早期把握、復旧・復興過程のモニタリングまでを,一貫して行うための基盤となるものである。
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