研究概要 |
衝撃波管と超音速ノズルを用いたガスダイナミック的反転分布生成法は、熱的励起を行った後、原子分子の各種エネルギーレベル間での緩和時間の差を利用して分布を反転させると同時に、ノズル流による急速冷却により下準位の失活を促進させ反転分布を増大させるものである。これは反転分布を得る方法として非常にユニークなものであり、かなり以前に一時期研究が行われたがその後あまり手をつけられていないものである。本研究計画では熱励起レーザーとして、衝撃波プラズマから超音速ノズル流を作りだし、反転分布生成過程についての基礎的研究を各種気体に関し詳細に行うとともに、反転分布をさらに増大させることを目指して、超音速ノズル流へ放電励起を重畳する方式を新しい方法として提案し試行研究を行う。本年度は、まず小型ショックチューブ(Shock Tubeは内径約100mm,ノズルは、ノズル高1.0mm,面積比15,チャンネル幅約100mm程度)の製作を行った。 この設計にあたって、これまでに通常行われていた隔膜式は、各ショットごとに行う大気開放にともなう不純物混入の問題や実験の再現性の問題、さらに実験時間の問題などが指摘されていた。今回、これらをを克服する方策として、高圧動作2重ピストンを用いる方式を考案し、設計製作を行い、開発実験を進めてきた。この過程で、ピストン動作の問題およびO-リングの破断の問題などが発生したが、それぞれの工夫によりこれらを解決し、衝撃波を発生させることに成功した。 今後は、ノズルを設置して超音速流の特性を調べる。これと同時に、超音速ノズル流中の共振器設計を行い、赤外検知器を準備し設置調整する。これらの準備の後、CO_2-N_2-He系によるGDLの基本特性の実験研究に入る。He-Neレーザーによる光学共振器の軸合わせ等を行い、この気体における発振を試みる。発振が確認された後、第2段階として、詳細な特性実験に進む予定である。
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