研究概要 |
大電力密度放電水素負イオン源プラズマ中の原子・分子過程をシミュレーション実験するため,内径4cm,長さ4cmの小型,高電力密度イオン源を設計・製作し,整備中の飛行時間差粒子速度分布関数計測装置に取り付けた.特に高電力密度での運転が可能となるよう,冷却効率を最重要課題として設定し,イオン源壁内部にプラズマ閉じ込め用磁石を埋め込み,外部に水冷パイプを巻いて直接内壁まで冷却できる構造とした.計測の結果,運転条件によっては非常に高い速度成分を示す水素原子が検出されることが分かった.また,放電電力密度に応じて水素分子の粒子束も減少することが分かった.しかしながら,残留ガス中の水素によるノイズが大きく,未だ十分なS/N比での測定が行えていないのでこの点を改善予定である.尚,イオン源プラズマ中の原子・分子反応プロセスのモデル計算との比較も開始しており,モデル計算の結果と測定される水素原子信号の結果の間に妥当な一致が得られつつある. dcレーザー光脱離を用いた負イオン計測については,プラズマ拡散モデルを用いた負イオン密度の絶対評価が,磁化プラズマについても可能であることを検証した.また,プローブ特性のイオン電流側にも脱離に対応した信号が検出されることを見出し,現在はこの特性について調査中である.さらに負電圧をグリッドに印加して負イオン生成部を実現する手法についても調査し,実際にグリッドに印加する電圧に応じて負イオン密度が変化することを確認した. パルスレーザー光脱離を用いた負イオン計測については,Csを混入した際に信号到達時間が大きく遅れることを見出し,現在この原因について調査中であるが,これまでの研究の結果,中性粒子衝突による影響である可能性が最も高い.
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