溶融塩フリーベ(LiF+BeF_2)ブランケットは、トリチウムの連続処理が可能で増殖性能がよい高性能で魅力的なブランケットコンセプトであるが、核癒合炉からのトリチウム漏洩を安全性向上のため10Ci/day以下に抑えるため、高効率のトリチウム回収装置を開発する必要がある。この点についてフリーベ研究はかなり遅れていた。さらにフリーベはその酸化還元状態によりトリチウムの存在形態が変わり、核融合炉設計にきわめて重要なトリチウムインベントリとトリチウム拡散挙動に影響をおよぼし、この点を明らかにする事で、また同時にトリチウム化学挙動を制御する事で、効果的なトリチウム回収と透過抑制を達成する事ができる。 本年は、昨年度の研究に引き続き、同心円ニッケルプルーブ間に存在するフリーベ中の重水素の溶解度と拡散係数、透過係数を測定した。その結果求めた溶解度は別の方法で測定した報告値の数百倍となり、水素が分子の形ではなく、別に融けていたフッ素と結合しフッ化水素として存在する事が分かった。また拡散係数もその傾向を示した。結果は、今年度国際学術誌および、ベリリウム国際ワークショップで発表した。今年度行う予定であった、Redox制御実験は実験装置の製作にとどまり、来年度引き続いて行う事にした。さらに溶融塩ブランケットにおいて最も重要な課題であるトリチウム透過抑制のための液体膜による透過抑制策について実験的に検討するため、Flinak(LiF+NaF+KF)の混合溶融塩の水素同位体溶解度と拡散係数を測定するための装置を製作し、実験を始めた。来年度は本研究の最終年度であるが、引き続いて実験をおこない、成果を国際学会等で発表したい。
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