研究概要 |
太陽電池や風力発電など,自然エネルギーを効率よくバックアップするハィブリッド電池システムを構築することを目的とし,本年度は以下の検討を行った。 1.ハイブリッドデバイス構築のための材料探索と評価 電池電極および電解質として,炭素系材料と有機ポリマー材料につき,組成最適化を検討した。前者については,ポリアセン(PAS)をベースとするハードカーボン材料と活性炭の複合化,黒鉛と金属スズの複合化を系統的に調査した。また,活性炭繊維に導電性ポリマーを修飾し,蓄電容量とサイクル特性の両立をはかる方法を提案した。また,電解質についてはプロトン伝導性の非水ポリマーゲルが電気化学キャパシタに適用可能であることを明らかにした。 2.小形電池系によるデバイス特性評価 前年度に研究成果として得た設計指針に基づき小形の電池を構成し,そめ基本データを集積した。とくに,安全性と高エネルギー密度の両面から採用を検討しているポリマーゲル電解質については,電極構造の最適化をはかることにより,実用レベルの性能が実現できることを実証した。 3.自然エネルギーバックアップシステムの構築と評価 本課題に関しては,次年度(最終年度)でのシステム総合評価に向けて,本年度は負極/電解質/正極の最適組合せについて,単極試験からのシミュレーションを行った。また,デバイスの大形化に対応するため,より高い安全性を保証するシステム設計を提案した。これらに関係する研究成果は,11)研究発表項に記載の学術雑誌に公表したほか,第44回電池討論会(平成15年11月,堺)で報告し,また電気化学会第71回大会(平成16年3月,横浜)および205th ECS Meeting(平成16年5月,Texas,米国)などにて報告する予定である。
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