研究概要 |
1.【計算体系の構築と特性計算】:研究実施計画中の1,2,3、4項に対応。(1)購入したマイクロコンピュータ内にMIRD-5型人体形状ファントムやEGS-4(電磁カスケードモンテカルロシミュレーションコード)を導入し、電子線やガンマ線のエネルギー付与過程を計算できる体系を構築した。既存の計算体系との同時計算により、計算速度を従来の4倍に上げることができた。(2)MIRDファントムでは区別されていないが、ICRPの組織荷重係は与えられている赤色骨髄や筋肉等の臓器線量を求める方法を示し、実効線量算出を可能にした。(3)中性子輸送計算コードであるMCNPを用い、電子が源となって発生する光中性子による人体中におけるエネルギー付与は、電子によるエネルギー付与に対して充分小さく無視できることを示した。 2.【電子線に対する非均等被曝計算】:研究実施計画中の5,6,7項に対応。(1)電子線の入射エネルギーは100keV-200MeVまでの11点を選んだ。照射体系はAP照樹およびPA照射とした。照射面積は人体全面積の1/10,1/5,1/2,1倍の4種類、照射位置はそれぞれの照射面積に対して、8カ所,4カ所,5カ所,1カ所とした。例えば照射面積が1/2の時には、右半身、左半身、中央半身、上半身、下半身の計5カ所である。各照射体系、照射面積、照射位置における実効線量を100keV-200MeVまで求めた。(2)これらの計算の結果、実効線量がほぼ一様に上昇する全身一様照射に対して、部分的に照射される非均質照射では、急激に実効線量が増大する入射エネルギー値が存在し、それは、照射位置ごとに異なり、また、照射面積にも依存していることが分かった。例えば、1/10照射の場合では、腹部では10MeV、頚部では5MeV、下腹部では2MeV、胸部では1MeVであり、これらは、照射された臓器の体内での位置、その臓器に与えられた組織荷重係数等の違いによることが明らかとなった。
|