研究課題
基盤研究(B)
核実験の国際的な監視、核兵器を用いたテロ犯罪の防止、原子力の平和利用のために、放射性希ガスの気流中の希ガス検知システムは、確立すべき重要技術である。本研究では、大気中放射性希ガス分析において核となる低温における放射性希ガスの吸着技術と放射性希ガスの濃縮分離技術の確立を目的とする。研究では、まず各種吸着材における希ガス単成分の吸着特性を詳細に検討した。これによりキャリアガスが影響しない状況での希ガスの基礎的な吸着特性を把握した。この上で、キャリアガスに窒素を用い、87Kにおいて吸着材のスクリーニングテストを行った。この結果、炭素系吸着材がクリプトンの吸着において有効であり、非炭素系吸着材では、共存窒素ガスの影響を受け、クリプトンの吸着量がきわめて小さくなることがわかった。この結果を受け、ヘリウム冷却装置を用いた吸着実験装置により、炭素系吸着材におけるクリプトンの吸着特性を詳細に調べた。吸着材には、Merck社製活性炭、岸田理化社製活性炭、Ambersorb572、粒状白鷺を用いた。実験で得られた吸着破過曲線を解析し、吸着平衡特性、吸着速度を定量化した。この結果、低温においてクリプトンの吸着量と吸着速度に関して、良好な性能を持つ吸着材は、Ambersorb572であることがわかった。また、Merck社製活性炭について得られた結果を用いて、気象研究所の大気中クリプトンのモニタリングシステムに用いられている実際のクリプトン捕集用吸着材の数値シミュレーションを行った。この結果、80〜100Kの温度範囲においては、上記システムに使用されている量の吸着材では、目標とされる期間、大気中のクリプトンを100%捕集できることがわかった。また、低温で確実に運転する場合、Ambersorb572を用いれば、システムの小型化が可能であることもわかった。さらに、ドライアイス温度におけるキセノンの吸着特性を調べた。この結果、銀モルデナイトが有効な吸着材であることがわかった。
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Journal of Nuclear Science and Technology (投稿中)
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