研究概要 |
平成14年度は,次の成果を得た: 1.放射収支に最も大きな影響を与える雲の光学的厚さ及び平均粒径を,マイクロ波放射計,地上日射量,ライダーデータ等を利用して推定する新しいアルゴリズムを開発した.幾つかの重要な仮定によってまだ汎用ではないが,一定の条件下で妥当な値を推定することが示された.併せて,マイクロ波を利用した雲水推定手法の改良を提案した. 2.95GHz FM-CW Radarの試作が完成し,解析アルゴリズムの開発を行っているところである.従来のパルス方式と全く異なり,低電力・ローコスト・小型の特徴がある.通信研究所所有のパルス方式radarとの比較実験を行い,ほぼ設計能力が出ていることが確認された.しかし,絶対量(反射因子)の推定にはまだ幾つかのハードルがある.解析アルゴリズムの改修による高感度化,マイクロ波放射計との併用による絶対値の推定などを今後の課題として,安定して使用に耐えるものへの問題点の洗い出しを行っている.同時に,Lidarとの比較観測も行われて,光学的な情報の違いが見えており,今後の解析で雲の特性との関係を明らかにすることが可能ではないかと予想している. 3.地表面放射収支の基礎量の一つである日射量の推定をGMS-5データによって行っている.これは従来から継続研究しているもので,現在1996年から2000年分まで終了した段階にある.SKYNETによる観測データとの比較による精度検証,エアロソル放射強制評価を行っているところである.エアロソル放射強制では,中国に設置してあるsky radiometerの解析が進行しており,場所や季節による強制力の違いが見られることが明らかになりつつある.
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