研究概要 |
東京(35.6°N,139.7°E)及び八丈島(33.1°N139.9°E)において2002年1月から継続して大気エアロゾルおよび雨水の連続採取を行い、東京においては2003年1月から全降下物採取と、ろ過による雨水のみの採取(八丈島と同一方式)を並行して行った、これらの試料は、^7Beについて主にGe半導体検出器によるγ線測定を行った後、化学処理により分離・精製して^<10>BeのAMS(加速器質量分析)測定を行った。大気中^7Be・^<10>Be濃度および^<10>Be/^7Beの季節変化は、東京と八丈島では非常によく一致しており、緯度・環境の違いによる差はほとんどないように思われ、土壌粒子などの再浮遊の影響がないようにも思われるが、^<10>Be/^7Beを比較すると、平均10%程度東京の方が値が高く、再浮遊の影響がこの原因ではないかと思われる。雨水中濃度から算出された、^7Be・^<10>Be fluxの季節変動は、東京と八丈島でパターン及び値に違いが見られ、大気中濃度との相関も必ずしも良くないので、降水量や降水頻度などの要因の影響が大きいと考えられる。しかしながら、^<10>Be/^7Beの季節変化はかなり良い一致を示し、更に大気と比較しても良い一致が見られたが、東京の全降下物試料のうち1-3月採取された試料は、特異的に高い値を示した。この時期の気候には乾燥・強風という特徴があるので、他の試料との違いは、土壌粒子の寄与と考えることができる。これは、ろ過方式の雨水試料の測定により、陸上の^7Be・^<10>Be fluxが求められることを示唆するもので、^7Be・^<10>Be fluxの分布あるいはglobal averageの推定について展望を与えるものと思われる。
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