研究概要 |
1.日本-南極間における表層水中の^7Be・^<10>Be濃度の深度分布測定(白鳳丸KH04-5次航海2004.11-2005.3)の結果、1)^7Be濃度の深度分布は東部太平洋(KH03-1,2003.6-8)と全く反対の傾向を示し、南北の海域の違いでなく、季節の違いを明確に反映する、即ち^7Be濃度の深度分布の形は水温の分布に類似し、これをトレースすることが判明した。夏季には発達した季節躍層に似た分布が、冬季には100m程度のよく上下混合された分布が観測された。2)^<10>Be濃度の深度分布は、40°S以北では東部太平洋と同様に、表層において800-1400 atoms cm^<-3>と濃度に幅があるが、深度の増加に伴って収束し、500m付近では1000-1500atoms cm^<-3>となったが、50°S-南極海では全体的に低濃度であり、表層で300-800 atoms cm^<-3>、500m付近で700-1000atoms cm^<-3>であった。 2.西部北太平洋の海底堆積物(KH00-3,2000)について、U,Thの分析により求めたex^<230>Th年代から、堆積速度は20°N付近で1.2mm/kyr、40°N付近で3mm/kyr程度と見積もられた。^<10>Be濃度の深度分布測定から求めた海水から堆積物への^<10>Beフラックスは、20および40°N付近でそれぞれ0.018-0.037および0.10-0.15atoms cm^<-2>s^<-1>と堆積速度に比例する結果となった。前者は同一測点において表層水中濃度から算出した大気から海洋へのフラックス0.03-0.04とほぼ一致したが、後者はその3-4倍と大きく異なり、海底堆積物中の^<10>Beは大気からのフラックスあるいは海水中濃度ではなく、沈降する物質量に依存することが示唆された。
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