研究概要 |
1.太平洋・南極海における表層水中、(1)^7Be濃度は水温とほぼ相似形の深度分布を示し、夏季には海面から減少し100m付近で0に近づき、冬季には海面から100m付近までは一定でその後急減する。(2)^<10>Be濃度の深度分布は、一定あるいは表面から深部に向かうにつれ濃度が増加する形状であった。(3)^7Be濃度の緯度分布は大気中濃度との相似性は高く、極小値、極大値は、5-10、20-40atoms cm^3.(4)^<10>Be濃度の緯度分布は南半球では大気中濃度との相似性が高く、赤道域と北半球ではほぼ均一な分布を示し、南極海で300-500、極大値は1500、赤道域と北半球で500-900atoms cm^3。 2.東京と八丈島の大気中^7Be.^<10>Be濃度、^<10>Be/^7Beは年間通じてよく一致し、^<10>Be/^7Beは東京1.81、八丈島1.75と、海洋大気1.5より高かったが、AI濃度と土壌の^<10>Be/Alを用いる再浮遊の補正によりこれらを一致させることができた。雨水中^<10>Be濃度から算出した、地表へのフラックスの季節変動パターンは異なり、平均値も東京0.040、八丈島0.074atoms cm<-2>s<-1>と大きく異なった。^<10>Be/^7Beの季節変動パターンは類似しており、大気と同様の再浮遊補正により大気中の値とも良い一致を示した。 3.西部北太平洋の海底堆積物のex^<230>Th年代と^<10>Be濃度から求めた堆積物への^<10>Beフラックスは、20,40°N付近で0.018-0.037,0.10-0.15atoms cm<-2>s^<-1>と堆積速度に比例する結果となった。前者は表層水中濃度から求めた海洋へのフラックス0.03-0.04と一致したが、後者はその3-4倍と大きく異なり、堆積物中の^<10>Beは大気からのフラックスあるいは海水中濃度ではなく、沈降する物質量に依存することが示唆された。
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