研究分担者 |
澤 庸介 気象庁気象研究所, 地球化学研究部, 研究官 (00354556)
土器屋 由紀子 江戸川大学, 社会学部・環境デザイン学科, 教授 (10011909)
吉岡 勝廣 島根県保健環境科学研究所, 主任研究員
長田 和雄 名古屋大学, 大学院・環境研究科, 助教授 (80252295)
松枝 秀和 気象庁気象研究所, 地球化学研究部, 室長 (60354552)
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研究概要 |
富士山測候所(標高3776m)及び山腹の太郎坊(標高1300m)の2地点において、2002年9月11日-24日および2003年5月26日-6月13日の各約2週間にわたり大気化学の集中観測を実施した。大気擾乱が活発化する季節に観測を実施して、気塊の入れ替わりとそれにカップリングした化学諸過程にアプローチを試みた。そのため上層気塊/境界層気塊のトレーサーとして、^7Be/^<222>Rnを各々に対応させ観測を行った。他の観測項目は、SO_2,CO,O_3,CO_2,降水、霧水、エアロゾル個数、エアロゾル化学成分等である。また、両集中観測の間についても、多数の項目の連続データが取得でき、順次分析を行った。 2003年の結果概略を述べる。5月末にCO、エアロゾル個数、BCの大幅な濃度上昇が同時に観測され、シベリア森林火災のプリュームの輸送が明瞭に捉えられた。自然大気中に存在する硫黄化合物中で、最も高濃度で滞留時間が長く安定な硫化カルボニル(COS)を太郎坊と山頂で観測した。その結果、山頂の方が太郎坊よりも高濃度であることが示された。SO_2の濃度は、ほぼ通年で観測が出来た結果、冬に高く、夏に低いパターンであること、さらに、冬には大陸から低気圧の通過に伴って、長距離輸送事象が発生することがわかった。この輸送に際しては、SO_2,CO,^<222>Rnが共に輸送される例が多く、共通する発生領域から由来することが示唆された。三宅島からのSO_2プリュームが捉えられたのは一度だけで、本州南岸で対流活動があり、かつ南東風がある場合以外には、富士山の高度まで到達しないことがわかった。これは、三宅の噴煙の到達高度が1kmほどしかないためと考えられる。^7Be濃度は春と秋に極大、夏に極小を取ることがわかった。大気上層部からの気塊輸送の季節変動を反映していると考えられた。
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