研究課題/領域番号 |
14380249
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
諏訪 裕一 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境管理研究部門・生態系機能制御研究グループ, グループ長 (90154632)
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研究分担者 |
庄司 正 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境管理研究部門・生態系機能制御研究グループ, 特別研究員 (70357234)
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キーワード | 化学合成無機栄養アンモニア酸化細菌 / 群集構造解析 / リアルタイムPCR / 16SrDNA / ammonia monobxygenase |
研究概要 |
本研究の目的は、環境微生物群集の群集構造を忠実に反映する、簡便・迅速な特徴付け手法、及び群集の構成微生物群の分類学的位置づけ(分類群)推定のための新規手法を開発し、プロトタイプを示すことである。窒素循環での意義付けが明確な化学合成無機栄養アンモニア酸化細菌(AOB)群集を対象とする。AOBは増殖速度が遅くかつ収率も低いことから培養が困難である。そのため群集構造解析ではPCRをはじめとする分子生物学的方法が用いられることが多く、近年、PCRを用いたAOBの定量的評価の可能性が検討されている。 本研究ではアンモニア酸化細菌の定量に核酸定量法の一つであるリアルタイムPCR法を適用することを試み、その妥当性について検討している。これまで、アンモニア酸化細菌の動態解析に汎用されている標的部位のまったく異なる2種類のプライマーセットを用い、分類学的に多様なアンモニア酸化細菌5株から抽出したDNA標品に対してリアルタイムPCR法を適用した。その結果、供試した5株由来のDNAについて検量線を作成することができた。しかし、検量線は菌株間での違いが顕著であり、検量線を作成する菌株の選択によって標的遺伝子の定量値を過大または過小評価する可能性があることが示唆された。 この結果を踏まえ、本年度は、標的遺伝子の定量値が過大または過小評価されるケースについて、それが起こる機構の解明を行った。その結果、過小評価の原因となる主な機構を解明することができ、正確な定量が可能なプライマーと標的(分類群)の組み合わせを求める条件を特定した。つづいて、各分類群のアバンダンスが得られる検出限界、定量限界、測定範囲等を検討した。それらの結果から、環境微生物群集の群集構造を構成する微生物分類群のアバンダンス分布として表現する新規方法開発の方向性を考察した。
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