研究概要 |
TLS(Trans Lesion Synthesis) DNA Polymeraseは、損傷を乗り越えてDNA複製を行うDNAポリメラーゼであり、突然変異生成のみならず、細胞周期停止やアポトーシス等、DNA損傷に対する生体応答に関して、重要な役割を担っている。我々は、ショウジョウバエを用い、TLS DNA Polymeraseの機能解析及び生物学的役割を明らかにすることを目指している。ショウジョウバエよりRad30A,Rad30B,Rev1遺伝子を単離した。その生化学的活性をin vitroで測定することにより、哺乳動物やバクテリアの酵素との類似点及び相違点を明らかにした。また、高発現系及びRNAiを用いた発現抑制系を用いたin vivo, in vitroいずれの系においても、この遺伝子産物の量は一定に保たれている事を明らかにした。また、細胞内分布を観察したところ、特異的な局在を示すことが明らかにした。更に、これらの特徴を示す領域を、deletion trancatedタンパクを作成する事により、Rad30B分子内で同定した。これらの表現型は、この遺伝子産物のDNA損傷応答における役割を考える上で興味深いものであり、今後その生物学的意義とのつながりを明らかにしていきたい。
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