研究課題/領域番号 |
14380257
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
八木 孝司 大阪府立大学, 先端科学研究所, 教授 (80182301)
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研究分担者 |
溝畑 朗 大阪府立大学, 先端科学研究所, 教授 (80090439)
川西 優喜 大阪府立大学, 先端科学研究所, 助手 (70332963)
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キーワード | SPM / PM2.5 / 大気浮遊粒子 / 変異原性 / 内分泌攪乱性 / 環境ホルモン / 発がん性 / リスク評価 |
研究概要 |
我が国では大気中に浮遊する10μm以下の粒子状物質(SPM)を大気汚染物質として環境基準が定められている。特に粒径2.5μm以下の微小粒子(PM2.5)濃度は推定死亡率や肺がん罹患率との間で有意な相関が認められている。微小粒子の主たる起源はディーゼル車排ガスである。本研究は大阪府内で微小粒子をサンプリングして、その粒径分布とその化学組成を分析し、微小粒子の健康影響、特に変異原性と内分泌攪乱性を細胞生物学的・分子生物学的に調べ、最終的にはリスク評価につなげることを目的とする。 大阪府大阪市(商業地)、東大阪市(自排局)、堺市(住宅地)の実大気についてロープレッシャインパクタで粒子別に分粒した大気中粒子試料を2週間ごとに連続して採取し、分析用試料を得た。同時にローボリュームエアサンプラで粒径分離しないフィルター試料を採取した。 その結果、東大阪市(自排局)、大阪市(商業地)のSPMを用いて以下の結果が得られた。SPM粒径分布は約2μmを境として2山型を示した。SPMのAhr、ER結合活性および変異原性は粒径分布が小さい方の山に一致した。大気量あたりの両活性は東大阪市の方が大阪市より高かった。堺市(住宅地)のPMのAhrおよびER結合活性は夏期に低く、冬期に高いという傾向があった。SPM濃度は年々減少していく傾向にあった。 大気浮遊粒子中に近年発見された強力な変異原物質3-ニトロベンズアントロン(NBA)はG:C→T:A突然変異を起こし、DNA中のNBA付加体は大腸菌においてSOS誘導条件下で損傷乗り越えDNA合成がDNAポリメラーゼV(umuDC)によって行われ、突然変異が生ずることがわかった。また大気浮遊粒子中のアミノビフェニルもDNA付加体を形成するが、こちらはDNA合成を阻害せず、突然変異を起こしにくいことがわかった。
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