研究課題
本研究では南極の昭和オアシスの湖沼から採取された堆積物コア中の地質学的、生物学的および化学的解析により、古環境変動と生物変遷を推定した。昭和オアシスの堆積物コアについてはAMS法により年代測定を行った。また、南極湖沼から得られた好冷性バクテリアの研究も行った。南極昭和オアシスのなまず池(長さ40cm)および大池(長さ32cm)の堆積速度は、それぞれ30および59y/cmで、コア底の堆積年代は、それぞれ1、200および2、000年前と見積もられた。なまず池の堆積物コアではTOC濃度が10〜30%と非常に高く、堆積物コアの大部分がコケを含むシアノバクテリアルマットから構成されていることを示している。TOC/TN比は深度38〜27cmまでは約10と低いが、25cmから表層に向かって急激に大きくなり12〜18となっている。コケを含む藻類マットのTOC/TN比はかなり高いので、約25cm(700年前)の深度から現在に向かってはコケ植物が出現し繁茂してきたことを強く示唆する。大池の堆積物コアではTOC濃度はなまず池と比較するとかなり低く(2〜13%)、シアノバクテリアルマットばかりでなく土砂成分がかなり含まれている。TOC/TN比は10程度でシアノバクテリアルマットの値を示しており、大池にはコケ植物が分布していないことと一致する。TOC濃度は深度23cm(1、400年前)と5cm(200年前)では約3%と著しく低く、この時期は降雪が多く周辺から融雪水が土砂とともに流入したためと思われる。スタノール/ステロール比より、大池は過去1、900〜1、500および1、100〜800年前に比較的還元的であったことを示唆する値を示しており、大池にはコケ植物が分布していないことと一致する。
すべて 2005 2004
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