研究課題
本年度は、南極の昭和オアシス・スカルブスネスのB-3池(200x50m、仮称)およびB-4池(150x50m、仮称)より採取された堆積物コアの全有機炭素(TOC)、全窒素(TN)、全炭素(TC)、全硫黄(TS)ならびにバイオマーカー(炭化水素、脂肪酸、ステロール)の特徴を明らかにするとともに、AMS法(^<14>C)により年代測定を行った。B-3池堆積物コアのTOC濃度は1.5〜15.6%と大きく変動した。これらの堆積層は大部分が有機物から構成される部分と土砂を含む部分が交互に堆積していることが明らかになった。また、B-3池の堆積物コアのTOC/TN比は9.9〜122と大きく異なる。これらの値が10程度の層は主としてシアノバクテリアのみから成るが、20以上の層は主としてコケから構成されていると推定される。B-4池の堆積物コアのTOC濃度は、3.0-17.1%で大きく変動し、B-3池と同様に大部分が有機物から構成される部分と土砂を含む部分が交互に堆積していることが明らかになった。また、B-4池の堆積物コアのTOC/TN比は、11.3-22.8となる。B-3池と同様にTOC濃度が高い層はTOC/TN比が小さく、逆にTOC濃度が低い層はTOC/TN比が大きく、シアノバクテリアの繁殖がこれらの値を支配しているものと思われる。さらに、すりばち池の水深5mおよび11mで採取した湖水試料から微生物コミュニティーDNAを抽出した。このDNAを鋳型にして増幅したEukaryaの18S rDNAをTOPO TAクローニングベクター(pCR4ベクター、Invitrogen)にクローン化し、南極すりばち池の真核微生物18SrDNAクローンライブラリーを構築した。これらのクローンについて分子系統解析を行った結果、すりばち池の5m試料からは、Chaetocerosに近縁な珪藻の存在が示唆された。また、11m試料からは、Chaetocerosに近縁な珪藻、Dunaliella salinaに近縁な緑藻、Chrysophyceaeに属する真核生物、Caecitellus parvulusに近縁な鞭毛虫、Monosiga brevicollisに近縁な襟鞭毛虫の存在が示唆された。
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南極資料 50・1(in press)
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