研究課題
人間活動が地球環境に大きな影響を与えるということが明らかになってから既に数十年が経つ。そのため、各既往の研究分野においては、人間活動ととの関係、とくに開発と環境保全という課題への挑戦を続けてきた。地球環境の危機的な状況が認識されるにつれて、教育の場では環境教育が広く深く進展してきている。ここにおける環境教育は、学校内および市民活動等の場において行われるあらゆる教育活動・啓蒙活動をさしており、その内容は、環境破壊の現状、そのメカニズム、対策等についての講義や実習、ワークショップ、グルーブ討論等々で構成されている。環境教育の対象や方法は、教育の対象が誰かによって、大いに異なっている。大局的に見れば初等教育・中等教育の段階では、環境問題を広く捉え、生活者レベルでの対策に重点を置くのに対し、高等教育段階では、これらを踏まえた上で、各専門を深く掘り下げ追究する、という違いがある。そこで本研究では、高等教育レベル(大学・大学院)における国内外の環境教育を対象として、現状を調査・分析し、その望ましいあり方を提言することを目的とし、以下の調査・考察を行った。1)国内の大学における環境教育プログラムの実態調査2)海外の大学における環境教育プログラムの実態調査・途上国における環境教育プログラムを中心に、フィリピン、韓国、インドネシア、シンガポール、ザンビア、東チモールの拠点的大学を対象に、設置状況、カリキュラムの内容、教育理念等について、調査、整理した。3)環境教育の実態調査・医療現場における実地教育の実態を調査した。・学生サークルやそのネットワークの歴史・成果・限界、今後の可能性を分析した。4)環境教育の経済分析・従来手法に加え、長期的な便益、見えない社会的便益を中心に、総合的に検討した。5)環境教育と法制化・環境教育のより良い制度のあり方を考究した。