研究課題
人間活動が地球環境に大きな影響を与えるということが明らかになってから、既に数十年が経つ。そのため、各既往の研究分野においては、それぞれの学問分野の視点から、人間活動と地球環境との関係、とくに開発と環境保全という課題に挑戦し、それらの関係を明らかにすることと、その成果を対策に結びつける努力を続けてきた。地球環境の危機的な状況が認識されるにつれて、教育の場では環境教育が広く深く進展してきている。そこで、本研究では、高等教育レベル(大学・大学院)における環境教育を対象として、現状を調査・分析し、その望ましいあり方を提言することを目的とした。その主な成果は、以下の通りである。国内の大学における環境教育プログラムの実態調査:国内の全大学を対象に、環境学関連の学科・コース等の設置状況、カリキュラムの内容、教育理念等について、悉皆調査した。比較的大きな学科・コースについて、設置理念や運用の実態について、ヒアリング調査を行なった。具体的には、鳥取環境大学での調査である。海外の大学における環境教育プログラムの実態調査:環境教育プログラムの先進国であるアメリカ合衆国等の拠点的大学を対象に、環境学関連の学科・コース等の設置状況、カリキュラムの内容、教育理念等について、ホームページ等を調査し、整理したうえで、数大学を選定し、設置理念や運用の実態について、現地ヒアリング調査を行なった。またアジア等、10を越える途上国の拠点的大学を対象に、現状と構想について、現地ヒアリング調査を行なった。また、環境教育にかかる費用と便益について、従来より行われていた経済分析を行うとともに、長期的な便益、見えない社会的便益を中心に、総合的に分析した。