研究概要 |
1)廃棄物熱処理プロセスシミュレーターの試作 本件求では小型溶融実験装置で各種廃棄物をガス化・溶融処理し,発生したダストとガスを雰囲気温度,流量を制御可能なシミュレーター(単一円管)に導入し,これによる反応速度の影響を考慮した重金属挙動の実験的検討を目的としている。今年度は,各種廃棄物の中でも特に含水率80%の下水脱水汚泥を処理対象とした小型溶融実験装置およびシュミレーターの設計・試作を行った。 2)下水脱水汚泥溶融時の捕集ダスト成分およびガス物性の把握 小型溶融試験装置により下本脱水汚泥を温度1350℃で溶融し,発生した排ガスを捕集温度750℃でインピンジャーによりサンプリングした。その溶液をICP発光分析装置,イオンクロマトグラフィーにより,排ガス中重金属濃度およびガス濃度を測定した。その結果,排ガス中には亜鉛,銅,鉛,カドミウムなどの重金属類及び塩化水素,二酸化硫黄などの重金属類の存在形態に影響を及ぼすと思われるガスの存在が確認できた。 3)シミュレーションによる排ガス存在状態の推定 小型溶融試験装置の750℃での排ガス組成を基に,(1)排ガス温度が750℃から300℃まで変化した場合,(2)塩化水素,二酸化硫黄などのガスを添加した場合,(3)ある温度域にフィルタを設置した場合の重金属化合物存在形態を,熱力学平衡に基づく計算ソフトウェアを用いて推算した。様々な条件で計算を行った結果,雰囲気温度,雰囲気ガス濃度及びフィルタの設置温度をコントロールすれば,目的とする重金属の化合状態を変化させられることから,排ガス中より重金属類を選択的に分離可能であることが示唆された。
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