富士山の高山・亜高山帯に調査地を設定した。高山帯は表富士5合目宝永火山口付近、亜高山帯は御殿場太郎坊双子山周辺とした。この地域は雪崩・山崩れなどの自然現象に加え、人為的な撹乱を強くうけ、現在裸地化が進行している。特に双子山周辺はオフロード車などの侵入により広く撹乱を受けた場所である。 14年度は調査地点を上記の2ヶ所に特定し、そこにおけるミヤマヤナギの群落構造の調査を行い、実験材料の確保と植生保全のための永久コドラートの設置を行った。また、4年計画のもとに調査実験区(10m×20m)を4区設置し、ミヤマヤナギの押木および移植の実験を今後3年計画で行うと同時にフジアザミとミヤマハンノキを用い、第一、第二、第三段階を想定し、混生密度実験を行った。さらにミヤマヤナギが植物ホルモン処理によりどの程度で発根するかを知るためにホルモンを用いて実験を行い、押木苗の生産を行い、野外における実験に用いた。また、グロスチャンバーを用いて、実験室にて季節を変えて苗の育成、ホルモンの効果について測定を行った。 本年度は予定通り、実験に用いる多量の苗の生産が可能となる段階に達した。さらに植物ホルモンの効果も十分に生かせることが明らかとなった。
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