研究概要 |
平成14年度には主として下記の課題を実施した。 1.社会を循環型に誘導するための間接制御手法の確立 資源循環型社会を形成するための間接制御手法を確立すべく、強制度や乖離度による分類方法を提案し、間接制御の効果についてシミュレーションを用いて検証した。 2.価値創造の視点からの循環型社会形成手法の確立 製品利用者がただ受動的に製品の価値を消費し一方向に廃棄していくだけでなく,製品やその循環に対し新たな価値を発見・創造していく価値創造を行っていくことで,製品自体の長期使用,リュース・リサイクルの増加を促すことに加えて,環境に対する問題解決に負担の意識だけでなく自らの直接的効用を含んだポジティブな意識であたれるという環境・社会両面に対しての真に持続的で豊かな循環型社会が形成できるという仮説を立て、そのための情報データベースを試作し、これにより製品利用者が自由な意志決定の元で環境に対して有効な価値創造行動の選択肢を増やすことができる可能性のあることを示した。 3.潜在機能に着目した人工物の環境適応性評価手法の確立 本研究では、人工物の持続性を向上させるために「潜在機能」という概念に着目している.人工物には,場が変化することで新たに発現する機能があり,これを潜在機能と呼ぶ.設計者が人工物に潜在機能を多く埋め込むことができれば,消費者はある機能が不要になった場合にも様々な機能を発見・使用でき,その結果として,廃棄行動の抑制,再利用性の向上に繋がるものと考えられる.本年度は、潜在機能を機能論に基づいて定式化するとともに、飲料容器5種について,潜在機能度と必要エネルギーの関係を分析し,本手法が人工物の種類にとらわれない環境適応性の評価方法となりうることを示した。
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