研究分担者 |
井鷺 裕司 広島大学, 総合科学部, 助教授 (50325130)
鎌田 磨人 徳島大学, 工学部, 助教授 (40304547)
中村 太士 北海道大学, 大学院・農学研究科, 教授 (90172436)
原 慶太郎 東京情報大学, 経営情報学部, 教授 (20208648)
森本 幸裕 京都大学, 大学院・地球環境学堂, 教授 (40141501)
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研究概要 |
本研究の最終年は,地域景観を生態系の種類,空間スケール,遺伝子などの調査から総括的にとらえた.生態学としては自然地域(特に河川),農村地域,都市とした.空間スケールでは地域全体を衛星写真のスケールから,植物個体群の遺伝子といったミクロのスケールまでを取り扱った.遺伝子においては,その生態系(植物群集)内における出現頻度の低い種の遺伝子のフローから,空間の構造を解明した.これらの情報を戦略的環境アセスメントの基礎資料とすることに努力した.自然地域においては物質の動態,流域内の水収支,魚類の存在様式などから,自然が本来有する構造と機能が調べられ,これらのシステムをいかに保全するかが検討された.農村地域でも同様に広域ではGISを利用し,詳細研究では耕地の雑草を指標とする研究がなされた.特にコウノトリの自然復帰(放鳥)を目標とした農村景観の研究はコウノトリを上位性の種としてとらえた場合,総合的に景観を評価するのに役立つものとなった.都市生態学では都市内の景観を生物の側から評価する指標を見出すことができた.多くの研究で指標性の高い生物群と,その挙動から都市内の緑地の構造の景観生態学的評価と,移動性,連続性,多様性保全等について確度の高い生態学的評価をすることができた. さらに,生態系全体の遺伝子構成を明らかにし,生物多様性の絶対的評価を可能にした.昨年度に続き,特定植物の遺伝子を解析し,生態系内の空間がどのように種によって利用されているか,外部との関係がどのようになっているかを植栽(メートルレベル)で評価できた.また別にEcoGISと称する環境アセスメントにおける「生態系」評価を実施するための基礎資料作成ツールを製品にすることができ,戦略的環境アセスメントに応用する道筋を構築した.これらを,系統的に総括した最終報告書を印刷中である.
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