研究概要 |
培養した赤潮プランクトン,ヘテロカプサ・サーキュラリスカーマの藻体を1-ブタノールとメタノールの混液で抽出した。得られた粗抽出物を1-ブタノール可溶部と水可溶部とに分離し,1-ブタノール可溶画分を得た。得られた1-ブタノール可溶画分は,カキに対して致死活性が認められた。 1-ブタノール可溶画分は,ヘキサン-80%メタノールで分配することによって,脂溶性物質を取り除いた。得られたメタノール可溶性画分を逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィーで分画した後,ゲルろ過,シリカゲルカラムクロマトグラフィーおよび逆相高速液体クロマトグラフィーによる精製を繰り返すことによって,2種のカキ致死活性物質,ヘテロカプサトキシンAおよびヘテロカプサトキシンBを単離した。 ヘテロカプサトキシンAの分子量は,ESI-MSから約3,400と推定した。また,ヘテロカプサトキシンBは,約1,000と推定した。それぞれの^1Hおよび^<13>C NMRスペクトルおよび化学的性質から,ヘテロカプサトキシンAおよびヘテロカプサトキシンBは類似の構造であり,酸素官能基を多く含むことが明らかとなった。 ヘテロカプサトキシンAおよびヘテロカプサトキシンBをアセチル化することによって,3〜4ppm付近のシグナルの多くが5ppm付近に低磁場シフトしたことから,これらの化合物は,水酸基を多く含むことが推定された。 現在,各種スペクトルデータの解析と化学反応を用いて,ヘテロカプサトキシンAおよびヘテロカプサトキシンBの構造決定を行なっている。
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