研究概要 |
流通式燃焼装置(試料供給量30g/h、内径50mmφ、長さ1800mm)を使用して、亜鉛含有率の異なる3種類の下水汚泥について、酸素分圧を変えた燃焼実験を行った。燃焼後の粒子状浮遊物質は水冷プローブを使用してサンプリングを行い、サイクロンで10μm以上の粒子を分離した後、カスケードインパクターを使って0.03〜10μmの粒子を風力分級した。これらの粒子状物質をCCSEMと微小部XRDを利用して、数千個レベルで粒径分布と形態別分析を行い、燃焼過程における粒子の組成や粒径変化を検討した。また、石英フィルターに付着した微粒子をアスピレータにより粒子1個ずつ吸引し、ヘリウムマイクロ波誘導プラズマによる発光分光分析の手法を使用して、バルク粒子表面にコーティングしている微量の凝縮性元素の定量を行い、その化学形態を明らかにした。 (1)亜鉛含有率の異なる3種類の汚泥について、酸素分圧を変えた燃焼実験を行い、揮発性元素の放出挙動を0.03〜12μmの範囲で定量的に明らかにした。この結果をもとに微粒子生成モデルを提出した。汚泥に含まれる無機質が直接粒子状物質に変換するルート:この時の粒径は1μm以上となる。一方、Na、Zn、Pなどは燃焼時に蒸気になり、均一核生成ルートならびに不均一核生成ルートを経て、0.1μm以下および0.1〜1μmの粒子が生成するルートに大別される。 (2)環境や生態への影響が大きい煤じん粒子表面に濃縮した揮発性元素の定量分析を行った。下水汚泥燃焼によって生成した飛灰のバルク粒子表面にコーティングしている微量の凝縮性元素として、B、As、Zn、S,P,Clが定量され、その化学形態として、As_2O_3,ZnCl_2,ZnSO_4などの存在が確認された。 (3)バイオマスの部分酸化によって作製した酢酸カルシウムを廃棄物原料に添加し、この酢酸カルシウムを燃焼させた時に発生するナノスケールのカルシウムが浮遊粒子状物質と反応して凝集し、10μm以下の微量金属発生量を低下させることを明らかにした。
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