研究概要 |
乾燥下水汚泥および石炭、その混合物を燃料とし、流通式燃焼装置(試料供給量30g/h、内径50mmφ、長さ1800mm)を使用して、1200〜1450℃、酸素分圧0〜50kPaの条件下で燃焼実験を行った。燃焼時に発生する粒子状浮遊物質を、低圧カスケードインパクターに取り付けた石英フィルターおよびテフロンフィルターによって0.03〜12μmの13段に分級して捕集した。各段のフィルターに捕集された粒子を蛍光X線分析装置、CCSEM(Computer Controlled Scanning Electron Microscopy)、微小部XRD、TEM、XPSおよびICP-AESを利用し、燃焼過程における粒子の化学組成を定量分析した。また、石英フィルターに付着した微粒子をアスピレータにより粒子1個ずつ吸引し、ヘリウムマイクロ波誘導プラズマによる発光分光分析の手法を使用して、バルク粒子表面にコーティングしている微量の凝縮性元素の定量を行い、その化学形態も明らかにした。これらの結果をもとに、燃料に含まれる無機質が直接粒子状物質に変換するルート(粒径は1μm以上)に関与する元素、および均一核生成ルートならびに不均一核生成ルートを経て、0.1μm以下および0.1〜1μmの粒子が生成するルートに関与する元素を明らかにし、粒子生成モデルを提案した。また、環境や生態への影響が大きい煤じん粒子表面に濃縮した揮発性元素として、B、As、Zn、S,P,Clなどを検出し、その化合物としてAs_2O3,ZnCl_2,ZnSO_4などを定量した。さらに、木酢液から作成した酢酸カルシウムを燃料に添加したところ、燃焼時に発生したカルシウム微粒子によってチャーから放出される粒子状物質(主にPM2.5)が捕捉されることが確かめ、微量金属成分の低減の可能性を示唆する結果を得た。
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